品質検査の実施方法

近年、検査は良い意味でも悪い意味でも注目を集めています。

不良を工場から垂れ流すようでは、検査を行う意味はありません。どうせ検査を行うからには、「流出ゼロ」を狙って効果的な検査を実施すべきです。近年は、自動車、医療、航空宇宙分野の製造関連企業に求められているのはppmオーダーの不良率で管理を行うことです。そこで、流出防止効果の上がる検査手法のポイントについて解説します。


1.機械による全数検査

画像処理を内蔵した検査装置が急速に発展してきました。AI機能を搭載した最先端技術を駆使した検査装置も出現しており、使う立場からは一体どの装置を使えばいいのか迷ってしまいます。しかし、このような優秀な機械でも欠点はあります。カタログからでは読み取れない画像検査機のメリット・デメリットを整理してみます

(1)画像検査機のメリット・デメリット

 ①画像検査機は一般に視野は狭く、数ミリから数センチの手のひらサイズ の比較的小型の部品の、小さな傷などの不良を見つけ出すのに向いています。

 ②また同じ部品の同じ個所を繰り返し検査を行うのが得意で、多品種少量生産の製品検査には、調整作業が頻繁に生じ、現場における検査には向いているとは言えません。

 ③検査精度は対象物によって異なりますが、100%の検出は望めません。不良の種類によっては見逃すこともあります。したがって、多くの不良サンプルの条件を満たし、検出力を高めていく努力を現場で実施しなければならず、負担は軽くないと思われます。

 ④価格は一般に高く完成品のセットの場合1000万円程度するため、コストパフォーマンスをよく検討し導入することが求められます。

 ⑤価格を抑えるためには、カメラ、照明、画像処理制御部を個別に選択して専用機として組上げる方法もあります。オールラウンドの機能は必要ないので、その検査専用とすることによって価格を抑えられます。


(2)画像検査機の選定方法

外観検査機では画像処理ソフトがカギを握っています。従って、何を検出したいのかを明確にしたうえで、検出するための画像処理をしっかりと行うことができる(実績のある)メーカーに依頼することが重要になってきます。大手検査機メーカーの汎用検査機は、様々な検査に対応でき、すぐに使うことができると言うメリットがある反面、実際に使いたい機能や性能が物足りないということが一般的に言われています。

非測定対象物の搬送系、冶具、照明、操作性などを含めた機能・性能を実現させるためには、特注の検査機を製作することをお勧めします。

 2.目視による全数検査

(1)周辺視検査法

人間の目視による全数検査は、見逃しミスが発生します。人間は集中力が続かず、90分ぐらいが限度とされます。比較的集中力を必要としない、「周辺視検査法」が注目されていますが、訓練が必要であり、個人差が大きいと言われています。

(2)巡回検査

ミスを未然に防ぐ目的で、管理者や、品質管理部門による製造工程の巡回検査を実施することが効果的です。ルールを守っているか?作業がやりにくくないか?健康状態はどうか? など、これはおかしいと気づき、不良発生や事故が発生する前に対処することで問題発生を未然に防止することができます。 巡回検査を実施する場合、チェックシートによる確認のほかに、巡回する工程の「異常検知能力」「不確かさ検知能力」が必要となります。

(3)自工程検査

トヨタの自工程完結の考え方の一つで、不良を後工程へ送らないとするための取組です。

 ①指差し確認、

 ②チェックシート、

 ③マーキング、

 ④相互検査

などにより確実な作業が実施できる工夫をします。多品種少量生産では、最も重要な検査手法に位置づけられます。

(4)順次検査・交互検査

 順次検査とは、前工程から渡された製品を、後工程の作業者が検査を行い良品であれば作業を行い、不良品であれば、前工程へ返却するというものです。交互検査は、同じ作業を2人で実施している場合、それぞれ作業した結果を検査するという検査方法です。これらは人手が不足する中小企業では、有効な検査方法と考えられます。

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