検査方式の設計

近年、ものづくり企業の生産現場では、「労働力不足」「競争力強化に向けた更なる生産効率向上」「顧客要求品質の高度化」等への対応が急務となっています。こうした状況下、ものづくり企業においては、製品等の検査を主として人の五感に頼っているところも多く、「人手が掛かり非効率」「高度な検査が困難」「人による品質ばらつき、見落とし」「定量的検査データが残らず品質管理が不十分」等の問題が指摘されています。


1.検査機器の導入による検査の自動化

 これらの問題の改善策として、検査機器の導入による検査の自動化が各企業で進められています。しかしながら、高度な機能が検査機機に求められる結果、検査機器・技術の精度やスピード等の性能不足が指摘されるほか、検査対象・項目、仕様・基準等の多様性や変化、検査対象の形状・材質・色等の特性に起因する困難性も指摘されており、精度・スピードや汎用性・融通性を高める開発も課題となっています。自動検査と人による検査については、補完・共存または両立関係にあるべきと考えている企業が多く、どちらも重要と認識しているようです。


2.人による検査改善の課題

検査員の訓練、手順の見直しや検査環境の整備が必要となる中、新たな検査手法・手順の導入や検査環境・器具などを改善する手段・方法の見極めが難しいこと品質保証を担う人材と技術・ノウハウの不足が問題となっています。

このため、現在は目視検査を中心に、検査の手法・手順や組織・体制等を行うに当たって、他社改善事例の調査や、指導人材育成、現場指導支援、他企業との情報交換を積極的に行っていくことが求められます。

 ★目視検査の見逃し対策:周辺視検査法に着目した全数検査

 ★検査の目的と種類


3.検査方式設計とは

下図に、検査工程の設計例を示します。受入検査から出荷検査まで、必要な工程のポイントにおいて、それぞれの種類の検査を実施します。各検査は必ずしも固定ではなく、検査結果の品質状況を見ながら各検査が必要かどうかを判断します。製造工程において多段階で行われる検査は、その目的のほか、場所、性質、やり方などの分類視点により、多様な種類に区分できます。

検査のやり方からは、製品すべてを対象とする全数検査(個別検査)、ロットごとに製品の一部を抜き取るロット別抜取検査、検査の管理・調整などを目的に行う管理抜取検査、単純な検査で良品・不良品を選別する全数選抜検査、確率基準にこだわらず適当に抽出して行うチェック検査のほか、品質情報等に基づき実際の検査を省略する無試験検査(無検査)に区分されます。


下図は、客先での不良を50ppm以下に抑えるための検査工程を含むQC工程図です。各工程の検査不良率の目標値、重点管理項目、日常管理項目を定めています。

 ①QC検査:製造部門で実施する検査(全数)

 ②ICT:インサーキットテスター(部品検査)

 ③FCT:ファンクションテスター(機能検査)

 ④外観検査:画像検査機による部品の取り付け状態検査

 ⑤QA検査:品質保証部によるロット保証検査

製造工程で行われる検査は、原材料の選別から中間製品・最終製品の良否判定に至る段階的検査によって、製造工程を適切に制御しつつ不良品の流出を防ぐ役割を果たしています。 

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