QC工程図は、作業単位(工程ごと)に、人、機械、方法、材料、測定(検査)の方法、つまりそれぞれ管理項目を決め、それを守ることによって、目的の品質特性が得られることを表しています。つまり、QC工程図は特性要因図を表の形で表したものなのです。
この事を理解しないで、QC工程図を作成している例を多く見かけます。作業単位(工程ごと)に、人、機械、方法、材料、測定(検査)の管理方法をすべて規定しないと、例えば作業者が変わった時、スキルの不足した新人が作業したりしてしまいます。これを防ぐために、あらかじめ、この工程の作業は、作業スキルの認定を受けた作業者というようにQC工程図で規定しておきます。
そのほかに、機械の指定、ポカヨケ治具や測定具も規定します。つまり、目的の品質特性を得るための5Mの要因をすべて規定するのがQC工程図であり、それを設計するのが工程設計なのです。
製品ごとに作成されるQC工程図の各項目について解説します。
●工程・・・部品の加工工程、組立工程などを指します。
例えば、切削工程/バリ取り工程、ねじ締め工程/動作確認工程など
●作業方法・・・作業内容、作業手順を指します。
詳しい内容は作業指示書機械操作手順書等で規定します。
●設備・・・その工程で使用する機械、工具、測定機、治具などを規定します。
●部材・・・その工程で使用する部品、材料、副資材などを規定します。
●作業者・・・その工程で作業する作業者の資格、熟練度などを規定します。
●記録・・・その工程の測定項目、チェックシートなどを規定します。
●特性値・・・上記の作業結果で得られた製品の特性値(寸法、外観基準など)を規定します。
●検査方法・・・検査基準、検査手順、規格、公差などを規定します。
●測定機・・・特性確認に必要な測定機類を規定します。
更にもう一つ注意点があります。4M変動が発生した時に、それに影響されない事が求められます。 先ほどの人の交替の例のように、機械や材料が変更になった時、あるいはロットが変わった時にばらつきが生じた場合でも、目的の品質特性が得られるように作業しなければいけません。機械を定期的にメンテナンスしたり、始業点検や調整、試し加工して測定する材料の品質検査など、確実にものづくりを行うように管理項目を決めておきます。
これを、工程の信頼性設計と言います。そしてその結果、信頼性に漏れが無いかどうかを工程FMEAで確認します。 以上QC工程図の目的と役割を整理すると
・工程の5Mの要因とその結果得られる特性(品質特性)を表にしたもの
・トラブルを未然に防止する予防策が組み込まれていること
・4M変動に影響されない対策が組み込まれていること
・重点的に管理する項目を明確にすること
・得られる品質特性値を明確にすること
などがあげられます。
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