生産委託と新製品立上げ

海外調達における新製品立上げ時の品質管理3つのポイントを整理してみます。

■ポイント1:委託先選定

優れた調達先は、探す努力をしないと見つかりません。小規模で知名度は無いがしっかりした優れたサプライヤーを探し出すのは調達担当者の仕事です。

その中で、一番のポイントとなるのは、経営者です。経営者の品質重視の姿勢が最も重要な選定条件です。日本メーカーから継続して受注している、スタッフが長期日本滞在で、日本的感覚を身に着けているのならコミュニケーションも取りやすいと思われます。もし、運悪く品質改善努力を全く行わないメーカーと付き合ってしまった場合、そこで品質改善努力のために労力を費やすのなら、割り切ってその労力を別のメーカーを探すために使うべきです。日本的な考え方で、工程を改善しようとして上手くいかない例は山ほど知っています。


■ポイント2:製造準備

 ①図面、ドキュメント

 ②工法の決定と、治工具の準備

 ③検査規格、検査用治具、限度見本

まず、図面や関連ドキュメントですが、日本の熟練技術者であれば、図面が多少不備でもこうすべきと自分で判断して、工夫し精度の高い高品質の部品を作り上げることができます。しかし、海外では熟練技能者はいません。日本で通用する図面は、海外では通用しないのです。特に、公差が厳しいと、海外では図面通り作ることはほとんど不可能です。公差を緩和する、公差を緩和しても、製品として支障なく組み立てることができる構造設計とすることが求められます。

更に、工法、加工手順、治工具をあらかじめ考えて準備し、期待通りのものがばらつきなくできる様にすることが必要です。特殊工程は要注意です。 メッキ、溶接、熱処理、塗装などの工程は、日本と違って「特殊工程管理」と「トレーサビリティー管理」をしっかり行う必要があります。安物買いは、大失敗します。


■ポイント3:検査体制

工程での品質作り込みが期待できない海外工場では、流出防止の手段として検査工程がいかに機能するかがポイントとなります。日本人が付きりで検査を行って品物をハンドキャリーで日本に持ち込むなどは、よく聞く話です。何らかの形で、現地スタッフにより梱包前に第三者検査を行うことは必要なことと思います。少なくとも、単純ミスは発見できる体制が必要です。外観など、官能的な判断が必要な部分は、傷や色などの限度見本を準備します。

また最近は、色々な機能を持ったセンサーが出回っています。「寸法測定」や「キズ・色」などを機械で判定させる方法も検討の対象とすべきと考えます。安く、良いものを調達するには、それなりの事前準備、体制が必要です。日本で調達する感覚で、価格だけを追求すると、安かろう悪かろうの世界から抜け出せ ません。


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