ヒューマンエラー対策は、かつては加工作業や組立作業中のミスが対象でした。作業者がミスをしなうようポカヨケ冶具や検査冶具などに工夫を凝らして来ました。ところが現在では、間接業務までその範囲を広げて対策を行う必要が生じています。
多品種少量ロット受注生産工場では、ヒューマンエラーは準備作業・間接作業など、生産現場以外で多く発生するのです。間接業務(オフィス、現場)でのヒューマンエラーはモノや機械の取り扱いミスの代わりに「情報の受け取り、加工、保管、配布」に関わる場合がほとんどです。ミスを減らして、作業効率をアップしていくためにも、間接業務の様々な問題にメスを入れることが必要です。
間接業務は、作業が個人に依存したやり方であったり、標準化がされていなかったりするため、本人しか分からないという業務も多くあります。直接の上司も、担当者がどうやって毎日の仕事を処理しているのか?本人に聞かないと分からないのです。
今の工場では作業用のポカヨケ冶具や検査冶具を考えるだけでは、ミスを防ぐことは難しくなってきています。 ラインの切り替えのための準備作業、段取り替え作業が頻繁に発生するためそのための情報のやり取り、確認作業、運搬などの直接作業以外の作業でのミスが多く発生します。
様々な状況変化の中で、いかに「正しい情報」を受け取るのか?また、正しい「状況判断」と、一つ一つの「確実な作業」が求められるのです。
・認知・・正しい情報を得る(見える化、コミュニケーション手段)
・判断・・正しい状況を判断する(4Mの状況、経緯)
・行動・・正しい行動(手抜き、近道、違反行為は禁止)
機械やモノのハードウエアのポカヨケではなく情報や手順を対象としたソフトウエアのポカヨケが重要になっていることをよく理解して改善を進めていきます。まず、正しい確実な情報を得るためには
・情報伝達ルート・指示ルートを明確にする
・情報伝達ツールを整備する(電話、メール、文書、SNSなど)
次に、正しい状況を判断するためには
・工程の進捗の見える化(4M)
・仕掛在庫の見える化
・不良、異常の見える化
また正しい行動を行うためには
・ルール順守の徹底(管理層の巡回など)
・指差し確認
・チェックシートの運用
などの対策が必要になります。
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