製造業のライン組織からは利益は生まれない!御用聞き型組織から開発型組織へ

中小製造業の利益(付加価値)を生む組織形態へ転換させるためにはどうすればいいでしょうか?

中小製造業では、今まで、取引先企業から受注した製品を図面通り加工し、納期に合わせて生産するための組織を構成し、運営してきました。受注生産に適した組織とは、取引先からの受注窓口である営業部門、納期通りに生産するための生産管理部門、図面に合わせて加工組み立てを行う製造部門、検査や品質管理を行う品質管理部門などが、主な組織です。

まさに御用聞き型組織といっていいでしょう。

今まではこのようなライン組織があれば、十分に受注が得られた時代の生産に対応が可能でした。しかし、現在はライン組織から、付加価値を生み出すのは難しく、また新たな顧客獲得は困難な状態で、ひたすら注文が来るのを待っているしかありません。


つまり、材料を注文に合わせて仕入れ、そこに加工賃を上乗せするだけの商売で、飛躍的に

利益を増加させることはできません。


中小製造業のほとんどは、このような取引先からの受注品を加工して納入する形をとってきましたが、最近の円安、材料、エネルギー高、そして受注は減少傾向、儲からない、取引企業からのコストダウン圧力など、コロナ禍により、一層厳しい環境下で、苦しい経営を強いられています。


そこで、当研究所では下記の記事において新たな付加価値業務の取り組みの提案を行っています。それは「下請け業者」から、真の意味で「受託製造(サービス)業」に変わることです。モノを作るから、無形のサービスも提供する製造業へ生まれ変わるのです。


★製造業から「受託製造(サービス)業」に変身する4つのポイント

では、「下請け業者」から、真の意味で「受託製造(サービス)業」に変わるためのポイントは何でしょうか?

ポイント1:全員で、自社の特徴って何?を考える

よく言われていることなのですが、「独自技術を育てろ!」といっても、世の中で誰もできないことをやれというのではありません。そうでなくても、ある分野において、他社よりも少し上の技術、サービス機能を持つことです。

「うちには、技術なんてないよ!」という社長さんがいますが、よく考えてみてください。今の顧客がなぜ、あなたの会社へ注文を出すのか?自分ではわからなくても、顧客から見ると、必ず良いところがあるはずです。


この加工方法に関しては、どの企業より熟知しているので、期待した精度でバラツキが少ないものを納入してくれる、試作を頼むと、図面の不備の指摘や加工方法の提案をしてくれるなどです。自社の優れている点、特徴を社長を含め、社員全体で考え、共有することが実は大事なことではないでしょうか?それが分かれば、優れている点をもっと磨きを掛けていこうとする、行動が生まれてきます。


ポイント2:機械に投資?それとも人に投資する?

今や、中国メーカーでも多品種少量生産に十分対応できる企業が増えています。多品種少量生産は日本国内企業の役割として、国内にずっと残ると考えていると、それは間違いで、いつの間にか、中国のメーカーに取って代わられてしまいます。

そうならないためには、更にQCDに磨きを掛けることですが、そこで方向を間違わないようにしてほしいのです。優秀な最新機械の導入、ロボット化などにより、それらを達成しようとするとすると、その発想では、中国企業と変わらないことになってしまいます。


日本の中小企業が、真っ先に取り組まなければならないのは、機械化、ロボット化ではなく、ヒトを育てることです。つまり、優秀な人材を雇用するための環境整備、教育の仕組みなどに投資することなのです。また、熟練技能を継承させる努力も必要です。これらは、3年後、5年後を見据え、内部の人材を育成することを基本とします。


ポイント3:儲けるための仕掛け

ポイント1、2の努力により顧客の信頼を得ることができます。しかし、企業は儲けなければ、なりません。そのためには、安定した受注を確保することを考えなければなりません。

顧客企業の情報収集と、技術に裏付けられた営業力、マーケティング力が必要になってきます。「あのトップ企業の技術スタッフよりネットを通じて問い合わせがきている」などは絶好のチャンス到来です。ホームページは、そういった意味で24時間、優秀な営業マンの役割を担ってくれます。このツールをうまく使いこなしていくために、「受託加工(サービス)業」のホームページはどうあるべきか?顧客にどう語り掛けるべきかを良く考える必要があります。


ポイント4:開発型組織への転換

ずばり、これからは受注開発設計型企業としての組織形態に転換すべきです。この組織形態へ転換するためには、「自社の強み(独自技術)の発見と育成」「人材へ投資強化」「新顧客獲得のプロモーション機能」について強化してていき、その機能実現のために必要な組織を作っていくことが必要になってきます。

結果として、ライン組織は縮小し、その代わり人材は付加価値を生む受注開発型組織へシフトさせます。上の組織の例では、新たに「開発営業」「開発」「工程技術」の新たな組織を創設しています。

<開発営業課>

主な業務は、インターネットを介して顧客との会話、受注獲得、新技術提案などを行います。これからの営業は、自社固有技術を背景にWebマーケティング機能を強化しネットからの問合せや受注活動に注力していくべきで、新たな顧客をネットを介して獲得していくことが求められます。

<開発課>

顧客に対して新たな技術、加工方法の提案を行い、試作等を顧客と共同で実施し顧客とパートナーとしての信頼関係を構築、新たな受注に繋げていきます。

<工程技術課>

新たな製品の製造工程設計、必要設備の導入、治工具の準備、作業指導などを行います。顧客の要求するQCDを満足するための事前準備を万全な形で実施します。これら組織の機能は、それぞれの担当者の高いスキルと経験に支えられておりそのような人材を以下に育てていくかが最大のポイントとなります。

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