受注生産型中小製造業の自社製品開発は失敗する

受注生産を主体とする部品製造メーカーは、材料高、エネルギー高などに見舞われ、利益が出ない、先が見通せないなど、かつてない困難に見舞われています。

しかし、この逆境をなんとか切り抜けようと、「いつかは最終製品を作るメーカーになりたい」「差別化技術で、新規の顧客を開拓したい」という志を持つ企業がかなりの数存在します。ここでは、新製品を開発して市場に出したいと考えている企業に対して、どのように取り組んでいけば良いかを考えてみます。


1.設計メーカーへのステップ

ステップとしては、受注した部品の加工から事業を始め、対応できる加工技術を増やし、そのうち組み立てを手掛けるようになって、徐々に最終製品の機能や、作り方のノウハウを吸収し、設計の一部を請け負うようになり、技術を蓄えるうちに設計メーカーとなるといったケースが考えられます。


得意先のメーカーから寄せられる要望にきめ細かく応えていくうちに、部品加工以外にも、ちょっとした組立加工ができるようになり、対応しきれない加工方法については、それぞれの領域で優れた技術を持つ中小メーカーと協力関係を構築していき、いつしか、一つの製品を丸ごとOEM製造できるようになるのと並行して、自社ブランド製品を設計開発から製造・販売まで手掛けられるように技術を磨いて実力をつけていくというのが、時間が掛かるにせよ、リスクは最小限となります。


全組織が一丸となって『自分たちのモノづくり領域を広げていく』という方針を貫いて行くことによって工場のすべての組織が、開発のノウハウや手順を習得し事業領域がおのずと広がって行くものと考えられます。


2.製造部門の強化から始めるのが早道

いきなり最終製品の販売を狙うのではなく、取引先からの要求にこたえる受注生産に徹することで基礎体力をつけることが、中小製造業の成功のポイントです。新たに設計部門を作って、技術者を外部から招いても、それだけでは設計から製造までの流れは機能しません。

『モノづくりワンストップ体制』を敷くには、設計情報の流れ、データの流れ、試作評価とフィードバック、材料備品表作成と購入手配、量産準備、初期ロットの生産立ち上げなど、それぞれのステップを途切れることなくスムースにつなぎ、各組織がそれぞれの役割を分担しながら進めていく総合力が必要となります。


上記で述べたように、いきなり設計部を設けたとしても、その活動は製造部門と連携がうまく取れずに、宙に浮いた存在となってしまい、かえって設計部がネックとなってしまいます。(実際にそのような企業が存在します)


製造部門の業務を広げながら、製造技術的な開発の仕事を習得していくことから始めるやり方が受注生産工場にとって開発メーカーへの早道と考えます。また優れた製造ノウハウに裏付けされた設計を行うことによって、品質・コストの面で優れた製品ができるというものです。

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