現存技術力の深耕・差別化(製造業の事業再構築)

強い製造業には、六つの成功パターンがあると説いています。(AGC会長・石村和彦氏)しかしこれら6項目は必ずしも中小製造業に当てはまらないと考えられます。

それでは、筆者なりに考えた中小製造業の成功パターンを解説します。


1番目は、非常に強い製品を持っていること。

 これは、中小の場合「非常に強い加工技術を持っていること」と置き換えます。

つまり大手企業から受注した部品やユニットを製造している企業にとっては、最終製品ではなく、ある分野における部品の加工技術やユニットの性能に強さを持っていることが必要となります。例えば「超精密加工技術」「絶対に緩まないナット」など。


最近は新製品が世の中に出回れば、すぐ似たような製品を競合他社が発売するようになってきました。製品のみで差別化して長期に強いビジネスを続けるのは大企業、中小企業の区別なく難しいのが現状です。 ということから、他社にまねできない加工技術を磨くことは中小にとってとても大事なことです。


2番目は、競合より早く顧客が求める製品を開発して発売すること

 一歩先を行っていれば、高い利益率を確保できることに繋がります。しかしこれには、スピードを持って開発を行う企業文化が必要であり、人的資源の乏しい中小にとっては難しい課題です。しかし、受注製品を納入する顧客の要望をくみ取って、製造技術力を磨き、顧客のパートナーとして、ゆるぎない取引を継続することに繋がります。


3番目は、他社を圧倒する強い設備投資を行うこと。

 資金力の弱い中小にとって、設備投資で他社を圧倒することは困難です。大型投資を行うのではなく、多品種少量生産に適した汎用機械、あるいは特定顧客の要望に応える特殊機械の導入など、集中と選択の投資を行っていく必要があります。また各種補助金を利用することも有効です。


4番目は、ニッチな領域で勝負すること

 ニッチな領域で勝負することは、大企業との競争を避けることができ、競争相手が出てこない場合が多く、強いビジネスを継続できる可能性が高くなります。中小製造業は、技術の差別化、市場集中戦略を取ることで競争優位の地位の獲得を目指します。

 (2020年度中小企業白書)


5番目は、製品だけでなくサービスも販売すること

 生産された製品に販売やアフターサービスも含めて差別化してビジネスを強くしようという考え方ですが、中小では、なかなか手が回らない領域であると考えられ、中小では保有する技術の顧客への提案として、「課題を解決するにはこんな方法がある」「この製法でコストダウン可能になる」など、顧客提案型受注ビジネスの展開が考えられます。


6番目の差別化された生産システムを持っていること

 生産設備の設計に際して、どのような考え方で生産プロセスを設計し、どのように生産設備を設計すれば、差別化戦略に沿った生産システムが実現するのかが課題であり、その中で中小では、多品種少量受注生産に対応可能、納期遵守、飛込受注対応、リードタイム短縮型の生産システムの構築が求められています。これは、世の中にはありそうでないので、各社独自のシステム構築が行われているのが現状です。


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