教育訓練の方法としての講義法(座学)は、一度に大勢の受講者に大量の知識を伝達できるという利点があり、古くから広く実施されてきました。しかし
ながら、講師が伝えたとおりに受講者が受け止めているとはかぎらず、理解され習得される度合、つまり学習の効率はかなり低いというのがのが実情です。
1.体験学習とは
このような講義式の欠点を補うものとして体験学習という考え方とやり方が登場し、最近では実に多様な技法が開発されています。特に、コミュニケーションやリーダーシップなどについて講義をするのではなくグループ活動などの実際の体験の中からコミュニケーションやリーダーシップの能力向上をはかろうとすることから、「体験学習法」と呼んでいます。
体験学習の技法に共通しているのは、受講者が実習、訓練、練習、演習などを実際に体験することによって研修内容を体得するということです。このような体験学習法には、次のような効果・利点があります。
①受講者は受動的ではなく能動的に研修に参加できる
②自発的・主体的に研修課題に取り組むので、研修内容が身近なものとなる
③学習内容を実感的に体得できるので、学習内容が着実に身につきやすい
④習得の度合、学習効率が高いので、職場で活用・実践される公算が大きい
体験学習は大きく分けると、次の4つになります。
(1)各種の技能や技術を実技や実習によって習得する
営業担当者の顧客訪問、窓口の事務処理、あるいは熟練技術などの作業工程を実際に体験して学習することです。一般的な学習方法として広く活用されています。
(2)ケース・スタディ
実習のやり方を意識的に発展させたやり方で、教育訓練の場で、実物に近いものを使ったり実地に近い状況を設定したりして模擬的に自習をするものです。航空機のシミュレーター訓練、ロール・プレイング、ビジネス・ゲームなどもこれに相当します。
(3)体験学習
自衛隊に体験入隊させる、営業部門に一定期間配属させる、子会社に出向させるなどが該当します。 (4)センシティビティー・トレーニング
行動科学の領域で用いられているもので、コミュニケーションやリーダーシップなどパーソナリティの全体に関わるような態度や行動の変容をめざした訓練について用いられています。たとえば、エンカウンター・グループ、マネジリアル・グリッド・セミナーなどがその例で人間社会の基本であるべき支え合う人間関係や自分らしく生きる際の安心感が、多くの職場や学校、地域、家庭などでで失われてしまっているものを、取り戻そうというものです。
0コメント