報連相を定着させる「ノルマ」とは

(1)以外と難しい「ホウレンソウ」

 会議でも、工場の日常の仕事の中でも、上司が個々の部下に仕事を割り振ったとき、みな好き勝手に動き、しかも何を考えているのかわからない…このような状況では、仕事を取りまとめる方もまともに取りまとめることができません。 部下から情報収集し、上司が状況判断し、次の一手を正確に打つという「PDCA」サイクルの中で「報・連・相」は重要な役割を果たします。

最近は、どの会社でも「報・連・相」の徹底が叫ばれています。しかし上司が部下に対して「報・連・相」とお経のように唱えるだけでは、徹底することはできません。


(2)明確なノルマを与えること

それはなぜか?会議や、日常の業務の中で、上司が明確な指示を与えていないからです。問題点・課題に対して、解決のための明確なノルマ(いつまでに、何を、どのレベルまで)をはっきりさせないまま仕事をさせているのです。明確なノルマが曖昧のままであった時、個人は考えなくなり達成のための努力や、創意工夫をしなくなり当然のことながら「報・連・相」は少なく、お互い何を考えているのかよく分からない「腹の探りあい組織」へと変貌していきます。

特に海外では、ノルマが与えられたとき、達成できないのを、他の組織、他人のせいにして言い訳の世界に入り込んでしまうことが多く、例え主任や課長であっても、自分の受け持ち範囲外の仕事、グレーゾーンの仕事の問題までは立ち入らないことが多い傾向にあります。

(3)ノルマの与え方

 「いつまでに」「何を」「どこまで」を明確にすることです。期限を必ず設定すること、そして何よりも大事なのは、何をどのレベルまで達成させるかです。だれがどう考えてもできない目標値を設定してはいけません。「1ヶ月以内に不良をゼロにする」というのが現状から見て難しい場合、「全ロット100%検査を実施する」というように、「結果」よりも、「手段」をノルマに設定します。

そして「期限とノルマ」は「絶対」に守らせることが重要で、言い訳や、「できる範囲ででやりました」的な曖昧な内容ですませてはダメです。

(4)そこでホウレンソウが生まれる?

期限がきた時点で、「そこまではやってません」といった、「全然やってないわけではないものの、私なりの努力でもって、できる範囲では実行しております」的な曖昧な内容で済ませてしまう場合が非常に多い。課題を解決するために、ゴールから逆算した考え方がない。未達成で終わるリスクを回避しようという気持ちなど、サラサラない。ここが問題ということを上司は 認識すべきです。

上司は、部下にノルマを与え、絶対に100%達成させるように厳しく接する。これは上司自身も自分のノルマに対する考え方、行動に基づいていなければなりません。 「期限とノルマ」を「絶対」にすることにより、部下がとる行動は2つに限定されます。

1つ目は、自分で「考えて」やり切る。2つ目は、自分で考えても無理な場合のとき、上司や同僚などに「相談」してやり切る。そこではじめて、ホウレンソウの必要性が生まれる。 個人ではどうにも知恵が降りてこない時になって初めて、組織の力を利用しようとする行動が生まれ、部下は育ち、組織は強くなります。 目標設定する場合、必ず「期限とノルマ」を設定する。そしてその「期限とノルマ」は「絶対」に守らせることが重要なのです。

「PDCA」「ホウレンソウ」は頭の中では判っていても、自らの仕事の中で実践すること、つまり工場の仕組みの中にどのように落とし込むのか?を模索し、そして部下を教育している人は少ないのです。 

データとデジタル技術活用で未来を創る!スキルアップ学習サイト

高崎ものづくり技術研究所では、DXを製造業の若人材育成、品質改善、新製品開発、新市場進出など事業再構築、利益確保のため、組織・人・しくみの再構築、経営品質向上のための情報発信、手順書、テキストの企画編集を行っています。工場の現場ですぐに使える製造品質改善手順書、中小製造業のための組織設計、人材育成、新製品開発など経営品質改善に役立つ豊富なコンテンツをオンライン・電子媒体(DVD)で提供しています。

0コメント

  • 1000 / 1000