攻めの品質管理・守りの品質管理

これからは、従来の守りの品質管理だけでは飛躍的な品質向上は望めないと考えられます。顕在化した問題の対策(再発防止)だけに追われる「モグラたたき」では、いつかは市場に問題が流出します。お客様の厳しい品質要求に応えていくためには、攻めの品質管理へ転換し、未然防止の積極的な取組が必要になってきます。

従来の品質管理の考え方は、「カイゼン」の考え方が主体でした。 つまり、製造工程の問題が無くなるまで、一つ一つ改善を進めてより品質の高い製品を提供できるように全員で取り組むことを目的として様々な品質管理の手法が用いられてきました。

 ・統計的品質管理

 ・QC七つ道具

 ・抜取検査法

 ・QCサークル活動

 ・TQC(全社的品質管理)

しかし、これらの取り組みは、問題が表面化した後の「是正活動」であり、「再発防止」するために「しくみ」を見直す、「ポカヨケ」を設ける、「教育訓練」を実施するなどが主な対策内容となっていました。 また、製品の検査や、試作品の評価テストは、実際に製品が出来上がった後の良否の判定を行うために、検査項目に無かったり、評価テストで問題が発生しなければ、良品と判定されてしまい、市場に不良品が流出することは避けられません。

このような品質管理のやり方は、問題が表面化したら対策するという「後追いの品質管理」「モグラ叩きの品質管理」と呼ばれます。逆に、問題が表面化しなければ何も手を付けず、後手後手に回る「守りの品質管理」となっているのです。


では、「モグラたたき」「守りの品質管理」から脱出するためにはどうすればいいでしょうか?それはに、従来からの品質管理の問題解決手順を180度転換する必要があります。つまり、従来の

 ①問題発生

 ②現状調査・メカニズムの解明

 ③4Mの要因調査

 ⑤原因の絞り込み

 ⑥対策

 ⑦仕組みへのフィードバック 

という従来の問題解決方法を改め、以下の方策を工程設計時に講じておきます。

 ①4Mの管理項目を決める

 ②もし、4Mの管理項目が守れなかった場合の不具合を想定する

 ③その不具合が、市場にどのような影響を与えるかを評価する

 ④その影響度に応じてリカバリー対策を工程に盛り込んでおく

 ⑤工程で異常(不良ではない)の発生を事前に検知する対策を盛り込んでおく

 ⑥異常が発生したら速やかに手を打つ手順を決めておく

 例えば、部品のばらつき発生を想定します。実際にばらつきが発生するかどうかは考えずに、もしこの部品のばらつきが発生したら、製品にどのような影響が出るだろうか?それは市場でどのような問題が発生するだろうか?事故につながらないだろうか?と考えるのです。


各部品ごとに、ばらつきによる影響(発生頻度、事故につながるかどうか)を評価し、その影響の大きさによって対応策を決めます。バラツキによる影響が大きい部品は、一ランク上の精度の部品を選定する、あるいは、選別して製品には使用しないなどの対策をあらかじめ講じます。

このような一連の作業は、問題発生を未然に防止する活動であり「攻めの品質管理」と定義できます。 これは、ものづくりを始める前の上流工程で実施すべき内容であり、製品そのものを評価したり、検査する従来の品質管理とは全く考え方が異なります。

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