故障モードリスト/故障モード抽出表は、ボトムアップ型の設計を行う際の強力なツールとなり得るものです。別途解説の「新規点変更点リスト」とともに設計プロセスに組み込むことによって、潜在不良の流出は劇的に減少します。
1.故障モード一覧表
故障モード一覧表は、漏れがなく効率的に設計が可能となる有効なツールと言えます。
しかし、故障モードがどのようなメカニズム(環境条件や使用条件)で発生するのか、また製品にどのような重大な影響を与えるのかについて予測しなければなりませんが、この一覧表だけでは漏れるおそれが出てきます。以下に機構部品の抵抗器の故障モード一覧表の例を示します。
2.故障モード抽出表
そこで、過去の不具合情報を収集、解析を行って「故障モード抽出表」を作成します。 不具合情報は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)などの公開されている市場情報、社内の過去トラブル集などから、不具合(故障・事故)の発生状況、発生原因を故障モード、原因をキーワードとして一覧表を作成します。キーワード検索を行うことによって、過去に発生した故障・事故の情報が得られるため、漏れがなく対策を行うことが可能になります。
市場に流出する不具合は、ほとんどが過去に発生している問題であるため「故障モード抽出表」を参考にすることによって、対策の漏れを防ぎます。例えば「錆」という故障モードはだれでも考え付くことができます。しかし、これから採用しようとする部品が、どのような場合に錆が生じその錆がどのような重大な事故につながったのか?経験したことがなければ故障モード→「錆」→原因→「高温・高湿環境で発生」→影響→「部品の腐食」というように一般論で片付けられてしまう恐れがあります。
しかし、ある製品の部品は以下のような事故が発生します。故障モード→「錆」→原因→「沿岸地域で使用」→影響→「腐食によるガス漏れ」この例の様に、部品の使用環境、使われ方によって大きな事故につながる恐れがあります。設計時にはその部品の市場での使われ方を想定し、採用する必要があります。そのヒントを与えてくれるのが「故障モード抽出表」なのです。故障モード抽出表の例を以下に示します。
①発生メカニズムを明らかにする
②環境・使用条件、原因(故障モード)がどのように関係して故障(機能障害)に至っているかを解明し、理解する
③例えば「腐食」という故障モードは、「沿岸地域」で使用する場合に発生するという事実を確認し、新製品においても、その可能性がある場合、新製品の FMEA評価表に記載する
潜在不良を流出させない設計プロセスの確立を目指して
★攻めの設計手法 設計ミス未然防止対策(PDF)
http://factorysupport-takasaki.com/article/453232507.html
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