評価テストや検査で合格となった製品が、市場において故障することがあります。
潜在不良とは、設計から製造、輸送段階で検出されずに市場で顕在化する機能上の欠陥、部品不良などを指します。欠陥や不良の流出が原因となって故障が発生すると事故や災害に発展することがあります。
企業は、人的被害や経済的損失(リスク)を招く事故や災害発生をなくすこと、またはできる限り軽減する努力を怠ってはならないのです。
リスクアセスメント、設計FMEA、工程FMEAは、潜在不良をモノを作る前の上流で顕在化するツールとして使用します。
リスクアセスメントは、文字通りリスクを定量化し査定(アセスメント)することを指しています。 JISB9700:2013によれば、リスクアセスメントは,機械類に関連するリスク分析及びその評価を系統的方法で実施可能にするための一連の手順であり、設計者は次に示す措置 a) ∼ e) の順で実施しなければならない、と規定しています。
a)意図する使用及び合理的に予見可能な誤使用を含む,機械の制限を決定する。
b)危険源及び危険状態を同定する。
c)同定されたそれぞれの危険源及び危険状態に対してリスクを見積もる。
d)リスクを評価し,リスク低減の必要性について決定する。
e)保護方策によって危険源を除去するか又は危険源に関連するリスクを低減する。
製品の安全性については、製品の種類によって、法令で定められた技術基準や安全基準を遵守しなければなりません。また業界団体によって独自に定められた安全規格を守ることを義務付けていますが(自主規制)、それはごく一部の製品であり、またこの規格に適合しているからと言って安全が保障されるわけではありません。
法律や基準では規定しきれないの経年劣化や点検ミス、思わぬ誤使用などによって製品の安全性が損なわれます。リスクアセスメントは、あらゆる使用条件に対して対応することで、リスク対策の積み残しをなくすことを可能としています。 また、リスクアセスメントは製品の安全を確保する考え方に関して、製品や事業者が異なっても、設計の手順や評価基準を共通化でき、情報共有が可能となります。
リスクアセスメントの基本になるのは・・・
・この部品が壊れたら、お客様にどのような影響が出るだろうか(部品の故障モード)
・このボタンを押し間違えたら操作者にどんな危害を与えるだろうか(誤使用)
・この製造工程を飛ばしたら、事故につながらないだろうか(工程の故障モード)
というように、リスクベースの考え方を徹底した設計を行わなければならないということです。 リスクアセスメントの内容および手順については、JISB9700:2013を基本に、経済産業省より「消費生活用製品向けリスクアセスメントハンドブック」「リスクアセスメントハンドブック (実務編)」が作成、公開されています。
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